ご挨拶

当センターのサイトをご訪問いただきありがとうございます。我々虎の門病院では、転移性肝腫瘍に対する高レベルの診療提供体制を充実させることを目的として、2023年4月「転移性肝腫瘍高度集学的治療センター」の開設を行いました。

進行肝悪性腫瘍のうち大腸癌や神経内分泌腫瘍の肝転移は、適切な治療介入を行うことで長期生存あるいは治癒が目指せる病態です。我々のグループでは下部消化管外科、肝胆膵外科、臨床腫瘍科、放射線治療科の強力な連携のもと、2014年よりいわゆるMultidisciplinary Team Approachによるチーム医療を実践し、特に進行大腸癌の治療において世界に誇る成績を積み上げてきました(Shindoh J, et al. J Hepatobiliary Pancreat Sci 2021)。

我々の強みは各診療科スタッフの圧倒的な治療経験数のみならず、診療科同士、病棟・手術室・ICUスタッフとの強力な診療連携体制の下、大学病院やがん専門病院では実現困難な「真のチーム医療」を追求しているという点にあります。また、総合病院の利を生かし、心臓合併症などの重篤な併存疾患を有する方や身体状況の悪い方にも対応可能な体制を整えている点も特徴の一つであると言えます。

進行癌は一般的に治療が難しく、治癒を目指すことが困難な病態です。しかし、一つ一つの臨床判断や治療選択が大きな予後の差をもたらし得ることも事実です。我々は常にそうした意識を持ち、一人ひとりの患者さんにとっての最善の選択と治療のお手伝いをさせていただくことをモットーとしています。がんに苦しむ方々の希望となれるよう、高レベルの医療提供体制を今後も維持・発展させていきたいと考えております。

2023年4月
転移性肝腫瘍高度集学的治療センター長
消化器外科(肝・胆・膵)部長

進藤 潤一